Ruby-eyed Paradox Lucistic Jaguar
今年の6月、HYPO LINE REGULAR JAGUAR x HIGH YELLOW HYPO JAGUAR の組合わせで、Ruby-eyed Pradox Lucistic Jaguar が誕生した。
目が黒いのに何故ルビーかというと、肉眼でも画像でも判りづらいが、瞳が"ルビー"なのである。それを世界的に有名なMorelia のファンサイト"Moreliapythons.com"に紹介し、多くのMorelia ファンから祝辞や、質問などをいただいた。そのアクセス数は群を抜き、一躍その名は世界中に広まった。
"Moreliapythons.com"で 「Paradox Lucy 」というニックネームまで付き、画像アップデートの催促が止まないほどの熱狂ぶりだった。
もちろん、国内の爬虫類雑誌にも紹介し、画像を掲載していただいた。それは、私達にとって、とても幸運なことであり、また、私達は国際取引を拡大する良い切っ掛けをParadox Lucy が創ってくれたと感じた。
Clatchmates の孵化
都内最大規模で行われた2007 ビッグボルケーノに出店していた6 月23 日深夜、今年度最初のクラッチ: HYPO LINE REGULAR JAGUAR x HIGH YELLOW HYPO JAGUAR=の孵化が始まった。
イベント1日目を終え、翌24日の最終日、このタイミングを逃すのは、あまりに勿体ない。
いや、私だけで見るのは、皆さんに申し訳ないと感じ、みんなで見ちゃおうじゃないか!と、このハッチ風景をイベントで展示した。
その際、ボールパイソンの繁殖では、知識、経験、信頼ともに他を抽んでるBp SupplyのS代表と獣医師のS 氏らが、ジャガーのハッチングはなかなか見れないと、我々のブースに足を運んで下さり、私が少し気にかけていた「ある卵」を即座に指摘した。流石は日本最強のブリーダーチームだ。
そこで彼らのご教授のもと、他の卵への悪影響回避のため、その卵だけを引き離し、会場内で卵を切開することになった。
結果は予想通り 「Lucistic Jaguar 」だったが、残念なことに、発育不良で既に死亡していた。
Paradox Lucy の孵化
イベントも無事に終了した24 日深夜、Clatchmates は全て卵から無事ハッチした。
が、2つの卵だけ、孵化する気配が全く無かった。卵の状態は至って良好そうに見えた(内1つは他の卵より大きかった)ので、酸素不足にならぬよう、卵に少しのカットを入れ、孵化器に戻した。
それから2日が経過し、私はあまりの興奮と驚愕に手が震えた。
大きな卵から出てきたParadox Lucyは他のclatchmatesより、2日遅く孵化した。もう1つは、頚椎奇形で酸素を取り入れられず、死んでいた。
Paradox Lucy は、初めて顔を出してから、出入りを繰り返し、外へ出るのに2日間を要した。
ここで私は、あえて手助けをせず、自力でのハッチをさせた。ハッチ後、微々たる手ほどきをしたが、いずれも正解だったと感じている。
発育は充分にしているが、三半規管に異常をきたすNeurological problems(神経学的問題) を持っている。(4107 と4119 の動画後半にその動きを確認出来る。)
MOVIE4107(まだヘソの緒が付いている)
MOVIE4119
しかし、とても元気で、Clatchmates の中で一番大きい。
MOVIE4138(水苔容器からすぐに出てしまうほど、活発だ)
MOVIE4146
MOVIE4155(やはり何処か動作にぎこち無さを感じる)
Lucy の問題はFirst Shed(初脱皮) と給餌だと感じながら、順調な成長を願った。
Paradox Lucy の死
そのまま、順調な成長過程を経ているように見えたが・・・・・
それは、Lucy が産まれて46 日が経過した2007 年8 月9 日の出来事だった。
深夜1時30 分、Lucy はもがいていた。
彼の皮はとても薄いので、私は脱皮の兆候を見逃していた。通常脱皮前の目の白濁も見えなかった。
しかし、その時、脱皮するベストなタイミングであったと、後で判った。
神経学的問題を抱えるLucy にとっての脱皮は、難しい行動だったかもしれない。
私は苦しむLucy の下唇に、ほんの少しの剥がれた皮を見付けた。そこから、脱皮をアシストした。というより、全ての皮を脱がせてやらねばならなかったが、とても簡単に脱皮させる事が出来た。
その肌は、産まれたときのピンク系色とは違い、とても奇麗な純白だった。
皮を脱がせてやる最中、Lucy は苦しみながらも生きていたが、全てを脱がし終わる直前に、Lucy は息を引き取った。
私と家族にとって、Lucy が産まれてから死ぬまでの46 日間、とても楽しい日々だった。
子供たちも毎日のようにFacility に入っては、Lucy の状態を嬉しそうに説明した。
その分、この出来事は、とても悲しい。
なぜ、Lucy は生きたのか?
なぜ、死んだのか?
私はそれを知る必要がある。
album2 | album3 | album4 | album5 | album6 | album7 | album8 |
Lucy が産まれてから、私はLucy をとても過保護に育てていた。
また、あまりストレスを与えないように、極力Lucy に触れないようにしていた。
Lucy が死んでしまってから、彼の身体を細かく調べてみた。
体長は約45cm
性別は雄。
外観的に、鱗は薄いものの、問題無く揃っている。
口の中もすべて純白。歯は完全に生えてる。
しかし、彼の鼻の穴は、とても小さく、空気の通りが良くない様だ。
気管の穴も小さく、頚椎は少し歪んでいたため、酸素の吸入もスムーズではなさそうだ。
胆汁と思われるものが、彼の肝臓付近に充満していた。
私は、死んだ彼の写真をたくさん撮影し、そして、その日の内に彼の身体を日本蛇属学術研究所へ送った。通常なら、家族を楽しませてくれた動物なら、庭に埋めてやりたいところである。
しかし、私は問題点を熟知するべく、解剖を依頼した。
現在、調査中である。現段階で判っていることは、肺の機能と肝臓に異常が見られること。
それは、幸運にも私の所に降りて来たこの「神の悪戯」とも言えるLusy の誕生と死を、無駄にしてはならないと感じたからである。内蔵組織の病理検査の結果を得たら、また、ここで報告したい。
Morelia Reptor
KENTARO